つれづれな雑記帳

大学院での学びや、趣味の読書で感じたこと、生活の中で心に残ったことを書き連ねる雑記帳がわりです。

浅田次郎の一路

 

こんにちは。

 

今日は浅田次郎さんの『一路』についてです。

 

 

一路(上) (中公文庫)

一路(上) (中公文庫)

 
一路(下) (中公文庫)

一路(下) (中公文庫)

 

 

少し前にNHKでドラマもやっていたので、わりかし知名度も高いのかな?

自分は図書館で賑やかな表紙が目立っていたのでなんとなく手に取ってみたのですが、これが大正解!!

参勤交代をテーマにした人情話で、基本的にコメディタッチですが、ところどころ(というか7割くらい)笑いがあり、ドキドキひやひやもあり、ほろりもありで、上下巻の結構なボリュームですがテンポよく読むことができます。

 

以下wiki引用のあらすじです。

文久2年(1862年師走参勤交代の全てを取り仕切る供頭の小野寺家の嫡男・小野寺一路(おのでら いちろ)は、国元、西美濃田名部郡の屋敷で父親が失火で命を落としたとの報せを受け、急きょ田名部へ戻る。田名部の地を治める蒔坂左京大夫(まいさか さきょうのだいぶ)は無役の旗本で、石高は7500石と決して多くないが、大名と同等に扱われる交代寄合表御礼衆を務めるため、隔年の参勤を果たさなければならなかった。殿様からの拝領屋敷を焼失したという大失態は家名断絶にも等しい不祥事だったが、参勤の出立が間近に迫っていたため、重臣の蒔坂将監や家老の由比帯刀の口添えにより、一路は家督を相続し供頭としての務めを果たすこととなった。

しかしながら、一路は江戸で生まれ育ち田名部の地を知らないだけでなく、まだ若く現役だった父から仕事について何も教わっていなかった。焼け跡から見つかった文箱から、先祖が記した約230年前の参勤の記録を見つけた一路は、古すぎて参考にならないと一度は諦めかけるが、旅籠で出会った易者の助言で、時代を経て省略されてきた古式床しい行列の作法を復活させようとする。親戚からも家中の仲間らからも徹底して協力を拒まれる中、仕立てた羽織一式を人目を忍んで届けてくれた許嫁の国分カオルに初めて会う。つつがなく務めを終えるようにと祈ってくれた美しいカオルに心を奪われた一路は、行列を何事もなく成功させ、その暁にはカオルを娶りたいという思いを一層強くさせる。

行列に不手際があればお家取り潰しは確実、古文書の「参勤交代は行軍、戦そのものである」との言葉を胸に、背水の陣の覚悟で臨む一路に、難題は次々と振りかかる。雪深い峠越え、殿様の発熱による到着の遅れ、何よりも重大な難事は、将監らが主君・左京大夫の命を狙う陰謀を企てていることだった。

 

 

 

登場人物がまたいいんですよね。

主人公の真面目一辺倒の一路に、わざとうつけ者のふりをしているけれど実は超切れ者のお殿様。

一癖二癖あるけれど頼りになる周りの人たち。

そしてこういう話には欠かせない、参勤交代を邪魔しようとする黒幕の存在。

 

小説を読んでいて魅力的な登場人物に出会うと、自分の周りにいたらどんな感じだろう?と無意識に考える癖があります。

この小説は出てくる人出てくる人を、その度に自分の実生活に落とし込んで考えてみたくらい、魅力的なキャラのバーゲンセールです。

 

また話のプロットもさすがだなと思います。

単純に言えば起承転結がとってもはっきりしていてメリハリのある流れなのですが、ところどころに小ネタが散りばめられていて、ページ数の多さゆえの中だるみが全くないように感じたました。

参勤交代というテーマもいいですよね。

物語の進行に伴って、物理的な移動もあるので、話が前に進んでいることを体感的に実感できます。

「歩く」という行為が私たちの日常生活に死ぬほど身近なもので、それ故になんだか自分も参勤交代に混ざっている感覚を、文字を追いながら感じられるのかもしれないです。

 

この物語の中でひとつ出てくるキーワードに「一所懸命」があります。

一生ではなく、一所というところがミソです。

 

一所懸命という表記はもともと、武士が自分の領地を命をかけて守るという意味が込められているそうです。

とても強い使命感の信念が込められているんですね。

 

それに合わせて私がこの言葉を見て感じたのは、登場人物がそれぞれ一つの場所、つまり自分の立場や役割を全うする姿勢も、うまく表現されているということです。

 

命がけというと気安く使いづらいですが、こうやって考えると現代の私たちにだって十分あてはまる言葉だと思います。

家庭や職場、日常生活で自分のやるべきことを全うすることも一所懸命なのかなと。

 

命懸けでまっすぐに自分の使命に立ち向かう姿に、私も一所懸命に目の前のことに取り組もうという刺激を受けました。

 

 

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